■タンクローリーの種類
消防法で規定される危険物(主に石油、劇薬類)を運搬する危険物ローリー、毒物、飲料水、食品(牛乳、糖蜜、シロップなど)、セメントを運搬する非危険物の粉粒体運搬車ローリー、高圧ガスを運搬する高圧ガスローリー等に分かれる。
タンクの形状は強度を確保するため円筒形が多い。断面の形は危険物ローリーや非危険物ローリーは基本的に横に長い楕円であり、圧力封入が必要である場合は真円が使われる。高圧ガスローリーは全て断面は真円である。楕円である理由は、重心を低くして転倒をし難くするためであるとか、積込設備等の関連で全高を抑えるためである場合が多い。真円である理由は内部からの圧力をタンク外壁に均等にかけ、耐久性を高めるためである。
タンクの構造は危険物ローリーは裸タンクが殆どであるが、特殊構造として保冷・保温材付のもの、また常温での取り扱いに向かない積み荷の場合では、冷却、加熱装置付タンクも存在する。非危険物ローリーは保冷・保温材付または加熱装置付タンクなど特殊構造が多く存在している。高圧ガスローリーは裸タンクまたは保冷・保温材付タンクである。液体用タンクでは積み荷の動揺が車両の安定に及ぼす影響を少なくするため、防波板が取り付けられており、液体危険物では消防法により義務化されている。
タンクの材質は高圧に耐え、積荷の漏洩や化学変化を防ぐ目的から溶接組み立ての普通鋼、高張力鋼の鋼製のほか、油脂類ではアルミニウム、食品関係ではステンレス鋼が主流である。強酸、強アルカリなど、腐食性の強い積荷ではFRPや化学変化に強いチタン製のタンクも見られる。タンクの厚さは、鋼板で3.2mm以上のものを使うことが消防法では義務付けられている。
タンクの容量は危険物ローリーが最大30,000リットル以下、一室4,000リットル以下となっている。非危険物ローリーは規定はない。高圧ガスローリーは可燃性ガスが最大18,000リットル未満、アンモニアを除く毒性ガスが最大8,000リットル未満となっている。